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9/ Atomic Habits

習慣専門家のJames Clear氏が書かれた一冊

習慣専門家のJames Clear氏が書いた名著。

以下、個人的に印象に残った部分を要約しつつメモ

Tiny Changes, Remarkable Results

Why Atomic Habits Matters (なぜ小さな習慣が重要なのか)

複利効果を理解して結果よりも軌道を意識する

一パーセントよくなる選択をするか、一パーセント悪くなる選択をするかは、そのときには些細なことに見えるが、人生という長い期間を送るうちに、この選択こそが、自分の現実の姿と、なり得た姿との違いを決定する。 成功は日々の習慣の産物であり、一生に一度の大転換などではない。 だから、今成功しているか、そうでないかは問題ではない。 重要なのは、習慣が自分を成功へと導いているかどうかである。 現在の結果よりも、現在の軌道にもっと関心を持つべきだ。

  • これを思い出した

進歩は蓄積によって現れる

もし良い習慣を身につけることや、悪い習慣を断つことに苦労しているなら、それは進歩する能力がないからではない。 たいていは、「潜在能力のプラトー」をまだ超えていないせいだ。 懸命に努力しているのに成果が出ないと愚痴をこぼしているのは、温度をマイナス三度からマイナス〇・五度に上げて角氷が解けないと文句を言っているようなものだ。 努力は無駄にはなっていない。蓄積されているだけだ。 すべての変化は摂氏〇度で起こる。 ついに「潜在能力のプラトー」を打ち破ったとき、まわりの人は一夜にして成功したと言うだろう。 世間はもっともドラマチックな出来事だけを見て、それまでの一切は見ようとしない。 でもあなただけは、今飛躍できるのはずっとまえの――なんの進歩もないように見えたときの――努力のおかげだと知っている。

「何をやっても無駄に思えるとき、わたしは石工がハンマーで岩を叩き割るのを見にいく。おそらく一〇〇回叩いても、岩にはひびひとつ見られない。ところが一〇一回目に叩いたとき、岩はふたつに割れる。岩を割ったのは最後の一打ちではない――それまでのすべての殴打である」

社会改革主義者 ジェイコブ・リース

  • これを思い出した

目標で方向を定め、仕組みで進歩する

  • より良い結果を得たいなら、目標の設定よりも仕組みを重視しよう。
    • 目標には方向を定める効果があるが、進歩は仕組みによって生み出される。
  • 目標の問題点① 目標は生存者バイアスの影響を受けやすい。
    • 勝者は野心的な目標を掲げているが、大抵の場合、敗者も野心的な目標を掲げている。目標は皆同じなのだ。
  • 目標の問題点② 目標と結果は一時的な解決になりやすい
    • 結果レベルで問題を解決すると一時的に解決するだけである。永久に改善するためには仕組みレベルで問題を解決する必要がある。
  • 目標の問題点③ 達成/未達の二元論により幸福が制限されやすい

    人生の道のりが計画通りに行くことはありえない。結果よりもプロセスを大切に思う時、目標を達成して幸福になるのを待つ必要などない。仕組みが進歩していればいつでも満足できる。

アイデンティティーから始めよ

  • 「なりたい人物像」をアイデンティティーとして掲げることで習慣を身につけられる。

本質的なやる気が最高の形で現れるのは、習慣がアイデンティティーの一部になるときだ。 自分は「こうなろうとしている」というのと「こういう人間だ」というのでは意味が全く違う。 アイデンティティーに誇りを持てば持つほど、それに関する習慣を続けるモチベーションが湧いてくる。

  • アイデンティティーに沿った習慣を繰り返すことでさらにアイデンティティーが強められていく。

行動を繰りかえせば繰りかえすほど、その行動に関係するアイデンティティーが強められていく。 じつは、「アイデンティティー」という言葉は、もともとラテン語で「存在」という意味の「エッセンティータス」と、「繰りかえし」という意味の「イーデンティーディム」を語源としている。 つまり、アイデンティティーとは、文字どおり「繰りかえす存在」のことである。

習慣を確立する4ステップ

  • 習慣はパターン化して無意識が覚えた行動であり、以下の4ステップからなる。
    1. まずきっかけが脳を反応させる。きっかけは報酬を予測させるわずかな情報だ。
    2. 次に予測された報酬から欲求が現れる。
    3. 実際に反応(行動)が起こる。
    4. 反応の結果報酬を受け取る。

  • 各ステップをハックしていく事が重要

1. 習慣のトリガーを明示的に認知させる

  • 習慣は無意識下で行われることを認識する

無意識を意識しない限り、それはあなたの人生を支配し、あなたはそれを運命と呼ぶだろう。

  • 日本の電車の車掌が実際に声に出し、指を指して運転中の事象を確認するのは 無意識な習慣を意識的なものへと認知レベルを上げる 有効な行為である。

  • 同様に自信が無意識に行っている毎日の行動を明示的にリストアップして見直してみるのも良い。

  • いつ、どこで、習慣を行うかの計画を明確に立てる事が重要。実行時にはやる気に関わらずただ計画通りに行動するだけになる。

  • 既に行っている習慣をトリガーにして新しい習慣を行う「習慣の積み上げ」は効果的。

  • ただし、無理のある時間と場所に習慣を入れ込んでも上手くいかない。

  • 習慣のトリガーを環境にしこむ

  • 新しい場所へ行き、場所に対して新しいルーティーンをつくる。場所とルーティーンを1:1に対応させる。

ひとつの習慣の背景(場所など)と他の習慣が混ざらないようにしよう。背景が混ざると習慣も混ざり始める。そして、やりやすい方が勝ってしまう。

  • 逆に習慣を引き起こすトリガーを徹底的に排除して避けるようにすることで悪い習慣を避けられる。

2. 習慣自体を楽しい行為にする

我々の欲望を動かすのは 報酬の実現ではなく、報酬の予測である。

  • 報酬の予測(期待)を持った状態で習慣を行うようにすることで、習慣自体を行う欲望が増す。

  • 自分がしたい行動としなければならない行動をセットにすることで効果を得る「誘惑の抱合せ」を行う

  • 「しなければならない行動」をすることが当たり前、楽しんでいる環境に身を置く

3. 簡単にする

  • 人間は「最小努力の法則」に従う。

  • エネルギーは貴重なので、脳はできるだけ保存しようとする。できるだけ怠け、楽をする性質が本能に刻まれている。

  • そのため、難しいことをやろうとするのは本能に逆行しているので上手く行かない。できるだけ簡単なことを自然にやろうとする。

  • これをなんとかして簡単にすることで習慣化できる。

  • 行動は「繰り返す」ことによって簡単になる。

  • そのため、まずできるところから着手し、行動を始め、繰り返しているうちに簡単になってくる。

新しい言語の習得、楽器の演奏など、慣れないことをするのは非常に難しく感じる。それぞれの感覚が通るべき経路が確立されていないからだ。しかし、何度も繰りかえすことで経路が切り開かれると、すぐに困難さは消える。もうひとりでに動けるので、他のことに気をとられていても行動できるようになる」。常識も科学的根拠も、繰りかえしが変化をもたらすという点で一致している。  行動を繰りかえすたびに、あなたは習慣に関係する回路を活性化させている。つまり、ただ繰りかえすことが、新しい習慣を符号化するのにもっとも重要なステップということだ。だからこそ、何枚もの写真を撮った学生はスキルを向上させ、その一方で、完璧な写真について理論を考えていただけの学生のスキルは向上しなかった。

  • この時、時の流れという魔法は通じない。どのくらいの時間その行動を行ったかではなく、どのくらいの回数繰り返したかが重要である。

  • つまり、細かく何度も頻繁に繰り返す方が簡単になりやすい。

  • できるだけやりたい行動が簡単になるような環境を作ろう。

  • 2分間ルール

    • 「新しい習慣を始める時は、必ず2分以内にできるものにする」というルール
    • 最初から行うのに時間がかかる習慣を始めようとしても楽ではないので、続きにくい。
    • さらに繰り返しの単位が大きくなるので、繰り返し回数が少なくなってしまう。
    • また、繰り返しの回数が多くなれば「やっている」感覚が頻繁に訪れるため、アイデンティティーの強化ループにも入りやすい。
  • また「ノッてきたら、やめる」のも重要

  • システムやプログラムで良い習慣を自動化する、また悪い習慣の防御を自動化することも重要

未来の行動を確かなものにするために、テクノロジーや一回限りの購入に投資する。

4. 満足感を作り出す

  • 習慣を行った後の満足感は次の欲求を強化するのにつながる。

  • つまり、満足感が大きいほど、繰り返しやすくなる。

  • 脳による報酬の評価は、時間と相反する。脳は現在価値に忠実である。

  • 人は未来よりも現在を高く評価する。未来にもらえるかもしれない報酬よりも今確実にもらえる報酬を重視する性質がある。

  • 良い習慣のコストは現在にあり、悪い習慣のコストは未来にある。

  • 即時報酬を設計することが重要

  • 即時報酬は「行動が終わる時」に用意するようにする。

  • 具体的には、行動を記録していくことで達成感を設計するなど

無数の人たちが習慣を記録してきたが、もっとも有名な人はベンジャミン・フランクリンだろう。二〇歳から、フランクリンはどこへ行くにも小さなノートを持っていき、自分が目指す一三個の徳目について記録した。徳目のリストには、「時間を無駄にするなかれ。つねに有益なことに使うべし」、「無用な話をするなかれ」などがある。毎日の終わりに、フランクリンはノートを開き、自分の進歩のようすを記録した。

  • 逆に悪い習慣をやめたい場合は、即時損失を設計する
  • 具体的には経済的な損失が生まれる習慣契約を結んだりするなど他人の目を使うこと

アイデンティティーは小さく保つ

アイデンティティーのひとつの側面だけに、あなたの人となりの大部分を占めさせないことだ。投資家のポール・グレアムの言葉を借りれば、「アイデンティティーを小さく保つ」ことである。ひとつの信念だけで自分を定義したら、人生で試練が起きたときに、適応できるものがほとんどなくなるだろう。

アイデンティティーの喪失を和らげるカギは、もし役割が変わっても、アイデンティティーの重要な側面を保てるように、自分を再定義することだ。

例えば 「私はCEOだ」ではなく「私はものを創り上げるタイプの人間だ」に変える。

幸福とは願望がない状態

幸福とは要するに、願望がない状態である。きっかけを見ても、自分の状態を変えたいと思わないなら、今の状態に満足しているということだ。幸福とは喜び(楽しみや満足)の達成ではなく、願望がないことである。それは、ちがうふうに感じたいという衝動がまったくないときに訪れる。幸福とは、自分の状況をもう変えたくないときに感じる状態のことだ。  でも、幸福はいつしか消え去る。新しい願望がつねに現れるからだ。キャド・バドリスが言うように「幸福とは、ひとつの願望が満たされたときから、新しい願望が生まれるまでの期間である」。同じように、苦しみとは、状況を変えたいと望むときから、それを得るまでの期間だ。

Last updated on Oct 26, 2022 00:00 JST
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