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11/ 独学の技法

山口周さんが2017年に書かれた一冊

山口周さんが2017年に書いた独学に関する本

以下、個人的に印象に残った部分を要約しつつメモ

独学は4つのステップからなる

1. 戦略

  • 独学の4ステップをしっかり行うとそれなりの時間がかかる

    • 速読などのインプットの時間を無理に短縮するのは意味がない
  • 独学のために使える時間が1日平均1時間だとすると、1週間で1冊程度、年間では50冊程度のインプットが精一杯

  • つまり、インプットの量を絞り、密度を上げる必要がある

  • まず他者との差別化を考えつつ、「自分がどんな戦い方をするのか?どこで強みを発揮するのか?」という戦略を考える

    • 「何をインプットしないか」を決める
  • 戦略は荒い方向性だけで良い

人の学習には一種の偶然=セレンディピティが働きますから、独学によって学ぶ内容をガチガチに固めて、それ以外のインプットは極力しない、などということを心がけると、かえって偶然の学びがもたらす豊かな洞察や示唆を得られないことにもなりかねない。

  • 戦略は「テーマが主、ジャンルが従」で考える
  • テーマとなる問いを自分の中にいくつか持ち、ジャンルは横断的にインプットする
  • 発明やイノベーションは異ジャンルの組み合わせによって生まれるため、この方法だと新しい自分だけの示唆が生まれやすい

2. インプット

  • インプットはできるだけ広範囲に五感全てで行う

なぜ、独学のインプットを、これだけ広範囲のソースとして用いるかというと、本だけに独学のインプットを限定してしまうと「学びの稼働率」が低下してしまうからです。 システムの生産性は単位時間あたりの出力と稼働時間の積によって決まります。いくら処理能力の高い独学システムを作り上げても、肝心要の「独学の時間」が短ければ、学びの絶対量は大きくなりません。さまざまなソースに独学のインプットを求めるというのはつまり、学びのスイッチがオフになる時間を極小化するという戦略です。

  • 無目的な勉強こそあとで活きる

    • 「知の創造」は予定調和しない。セレンディピティが重要。
  • 好奇心の赴くままに行ったインプットがないと長期に渡るユニークなアウトプットができない

  • そしてそのインプットは無名のときにしかできない

よく言われる「インプットはアウトプットが必要になったときにすればいい」「アウトプットの目安がついていないインプットは非効率」という意見は、実は非常にミスリーディングで、逆に言えば、無目的に興味の赴くままに、ひたすらインプットする時期がないと、長い期間にわたって継続するような真に強力でユニークな知的戦闘力は身につけられない、ということです。

人生において他者からアウトプットを求められていない時期、インプットのための機会費用の小さい時期にしか、大量かつ無節操なインプットはできません。

  • 心地よいインプットに用心する

心地良いインプットというのは「共感できる」「賛成できる」インプットということです。こういうインプットは、文字どおり「心地良い」ので、注意しないとこういう種類のインプットばかりになってしまうのですが、これはとても危ない。なぜかというと、こういうインプットばかりしているとバカになるからです。

どんなに知的水準の高い人でも「似たような意見や志向」を持った人たちが集まると知的生産のクオリティは低下してしまうということです。これは個人の知的ストックにおいてもまったく同様だといえます。

  • 身の丈に合ったインプットをする

名著・定番と呼ばれる本であれば、それなりの内容が保証されているわけで、読んでみたら「ハズレ」だったという確率は低いかもしれません。しかし、だからといって、こうした本を「何が言いたいのか、チンプンカンプンだなあ」と思いながら、歯を食いしばるようにして読んでも、結局は消化できずに無駄骨に終わるだけです。

どんなに評価が高く、多くの人がほめちぎっている名著・定番と呼ばれる本であっても、自分自身が心底面白いと思えないのなら、その本には1ミリの価値もないのだ、と断定するくらいに独善的でいいと思います。

食欲が無いのに食べると健康を害すのと同じように、欲求を伴わない勉強はむしろ記憶を損なう

by レオナルド・ダ・ヴィンチ

  • 関連分野を固めて読む
    • 関連分野を固めて読むことで、その分野の内容が構造化できてくる
    • 構造化ができてくると、既に理解している・知っている部分が多くなり、読書のスピードが上がっていく

3. 抽象化・構造化

  • 抽象化とは、「要するに〇〇だ」とまとめてしまうこと
  • 物事がどのように動いているか、その仕組み・メカニズムを抜き出すこと

モデル化とは本質的なものだけを強調して抜き出し、あとは棄て去る作業です。 「抽象」と「捨象」と言います。

全ての抽象化された示唆や洞察の最後には「?」がつくことになります。なぜならそれは「仮説」であって「真実」ではないからです。

  • 抽象化・構造化能力を鍛えるためには場数を踏むこと
  • ストックの際に常に以下の3つを記述するようにする
    1. 得られた知識は何か?
    2. その知識の何が面白いのか?
    3. その知識を他の分野に当てはめるとしたら、どのような示唆や洞察があるか?

4. ストック

  • 記憶する必要はなく、いつでも引き出せるようにストックを記録する
  • ストックの量が創造性に直結する
  • アイデアはストックの組み合わせによって生まれる

アイデアとは「既存の要素の新しい組み合わせ以外の何物でもない」そして「新しい組み合わせを作りだす才能は事物の関連性を見つけ出す才能に依存する」

  • アイデアの質はアイデアの量に依存する

  • そのため、ストックの量を増やして組み合わせ爆発を起こす事が重要

  • ストックの仕方

    • まず、本を読んでいて気になるところに以下の3種別でマーカーを引く
      1. 後で参照することになりそうな興味深い事実 (青)
      2. 興味深い事実から得られる「洞察」や「示唆」(オレンジ)
      3. 洞察や示唆から得られる「行動」の指針 (黄)
      • 自分が共感できない情報、反感を覚える情報にもマーカーを引く
    • 読了したらマーカーを引いたところを中心に全体に目を通しながらどの箇所をストックするかを選別する
      • アンダーラインの数がどんなに多くてもストックするのは9箇所までとする
        • ストックする場所に転記するのに時間がかかりすぎるとストックが億劫になってしまうため

筆者オススメ本

  • 歴史
    • 銃・病原菌・鉄
    • サピエンス全史
  • 経済学
    • マンキュー経済学 マクロ編
    • マンキュー経済学 ミクロ編
  • 哲学
    • バカの壁
    • 自由からの逃走
    • 史上最強の哲学入門
  • 経営学
    • 競争優位の戦略
    • コーポレート・ファイナンス
    • イノベーションのジレンマ
    • キャズム
    • コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント
  • 心理学
    • ファスト&スロー
    • 影響力の武器
    • 世界の名詩を読み返す
  • 自然科学
    • 利己的な遺伝子
Last updated on Nov 09, 2022 00:00 JST
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