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23/ 具体と抽象

細谷功さんが書かれた抽象的思考についての本

細谷功さんが書かれた抽象的思考についての本

以下、個人的に印象に残った部分をメモ

抽象的に扱うことで応用が聞く

抽象化の最大のメリットとは何でしょうか?それは、複数のものを共通の特徴を以てグルーピングして「同じ」と見なすことで、一つの事象における学びを他の場面でも適用することが可能になることです。つまり「一を聞いて十を知る」(実際には、十どころか百万でも可能)です。抽象化とは複数の事象の間に法則を見つける「パターン認識」の能力ともいえます。身の回りのものにパターンを見つけ、それに名前をつけ、法則として複数場面に活用する。

抽象化は枝葉を切り捨てること

「枝葉を切り捨てる」のが抽象化の基本である以上、必要以上に細部にこだわるのはマイナスですが、かたや「神は細部に宿る」という言葉があるように、細部へのこだわりが重要になることも多々あります。これらはどう使い分ければよいのでしょうか? それが「目的」です。

抽象化とは、このような「デフォルメ」です。特徴あるものを大げさに表現する代わりに、その他の特徴は一切無視してしまう大胆さが必要といえます。

関係性に着目することで抽象化する

それは「関係性と構造」という側面です。具体のレベルは、基本的に「個別・バラバラ」の世界です。つまり、一つ一つの事象をすべて個別に扱うのが具体だとすれば、抽象とは、それらをまとめて「関係性」や「構造」として扱うということができます。よく考えてみれば先述のパターン認識も、何かと何かの関係性を一般化したものといえます。

ここでの「構造」は、二者以上の複雑な関係性のセットを指すこととするので、基本的には「単品」で考えるか、「関係性」で考えるかの違いになります。

抽象化のツールとして「シンプルな図解」があげられます。図解は「関係性」を表現するためのものです。

一つ一つの個性を排して丸や三角としてしまい、それらがどんな関係になっているのかという相対的なつながりのみを表現することが図解の目的です。

共通構造を見つける

高い抽象レベルの視点を持っている人ほど、一見異なる事実が同じに見え、低い視点の人はすべてが違って見えます。 したがって、抽象化して考えるためにはまず「共通点はないか」と考えてみることが重要です。

自分だけが特別であるという思い込みは抽象化思考を妨げます。

多種多様な経験を積むことはもちろんですが、本を読んだり、映画を見たり、芸術を鑑賞することによって実際には経験したことのないことを疑似体験することで視野を広げることができます。

そうすれば「一見異なるものの共通点を探す」ことができるようになり、やがてそれが無意識の癖になっていきます。

たとえ話とアナロジーは具体と抽象の往復からなる

たとえ話の上手い人とは「具体→抽象→具体という往復運動による翻訳」に長けている人です。

具体と抽象を状況によって使い分ける

「顧客の意見は聞くな」は革新的な製品を生み出し続ける会社で聞かれる意見です。 顧客の大多数は製品の目に見える具体的な面しか見ておらず、それを改善要望として言ってきます。それでは既存製品の改善にしかなりません。

とはいえ顧客の声を無視して売れる商品が作れるわけはないので、「顧客の声を先読みする」ことが必要ということになります。 つまり、具体レベルではなく抽象度の高いレベルでの顧客の声を製品に反映することで革新的な製品を生み出すことができるという意味です。

具体と抽象をどう切り分けるべきか。

「不連続な変革期」においては抽象度の高いレベルの議論が求められ、「連続的な安定期」には逆に具体性の高い議論が必要になる。

上流と下流は全く別の仕事

下流の仕事は多くの人が関わったほうがレベルが上がり、早く安くなりますが、上流の仕事の質は関わった人の量に反比例します。

人が関われば関わるほど品質は下がり、凡庸になっていくのが上流の仕事といえます。

具体の世界は量、抽象の世界は質

上流から下流へは質から量への転換

具体の世界は量が大事だが、抽象の世界は質重視。 「量が少なければ少ないほど、シンプルであればあるほどよい」という世界です。

パスカルは友人に出した手紙の最後に「今日は時間がなかったためにこのような長い手紙になってしまった」と書きました。 どこまで単純化できるかが抽象の世界の全てです。

パクリとアナロジーの違い

アナロジーとは「抽象レベルのマネ」です。 具体レベルの真似は単なるパクリでも抽象レベルで真似すれば斬新なアイデアとなります。 ここで重要なのは前述した「関係性」や「構造」の共通性に注目することです。

たとえば活版印刷機はぶどう圧縮機から、回転寿司はビールのベルトコンベアから生まれています。

Last updated on Feb 01, 2023 00:00 JST
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