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96/ 起業は楽しい!

ネットエイジの西川潔氏が2005年に書いた本

ネットエイジの西川潔氏が2005年に書いた本

革命家タイプの起業家

①自分の事業アイデアに賭ける、ワクワク感のある社会革命家タイプのひと

起業という言葉から私が最初に連想するのは、「世の中にこんな商品、こんなサービスを提供したらきっと、お客さんに喜ばれるだろうな。いっぱい売れるだろうな」「こんなニーズがあるのに解決策がない。そこをなんとかして解決策を提供し、お客さんに喜んでもらいたいな」というワクワク感です。さらに、自分の考えた新事業で業界全体、ひいては社会全体が大きく変えられるかもしれない!いや、変えたい!という、おおげさにいえば「革命家」のような大望です。こうしたワクワク感に満ちた起業アイデアがあって、成功を目指し必死に努力しているとき、起業はよろこびと震えを伴う感動を当人に与えてくれます。ライブドアがこんなに有名になる前、堀江さんと食事したとき、彼の構想の大きさに驚かされた記憶があります。「お前ホンキかよ?」と思わず聞きたくなるような革命的発想の持ち主です。

ミッションを見えるところに貼る

ミッションを持った起業の場合、ひとはそのミッションに共感して集まってきます。多少のつらいことや危機があっても、ミッションの原点に立ち返り、ともに困難を乗り越えようとする団結力が芽生えます。だからこそ、生き残る起業家の多くはちゃんと自分なりのミッションを胸に秘めているものなのです。ではどうすれば、ミッションを具体的に持つことができるのか。方法を教えます。ぜひ、起業にあたってのミッションをはっきり意識し、紙に書き出し、創業メンバーや社員の見えるところに張ってください。

適切な起業のタイミング

逆に、自分のビジネスプランに投資家がついてこないのなら、挑戦権はまだ得られていないと考えるべきでしょう。ビジネスアイデアに魅力がないか、自分の力がどこか足りないということですから。にもかかわらず起業しようというのは無謀です。

あるベンチャーキャピタリストは、こんなわかりやすい投資基準を持っています。つまり、

① 今までよりも2倍以上高性能であるか、半額以下のコストを実現していること ② 5年で50億円以上の売り上げを獲得する可能性があること

だそうです。

それくらいインパクトのある事業にしか投資しないというのです。

創造の喜び

創造の喜びを味わえる

起業はビジネスにおける芸術的創造行為です。人間をホモ・ファーベルと呼びならわすように、人間の存在の本質に「つくる」という性質があります。何かを創造することは人間の最大の喜びなのです。それをビジネスというシーンにおいて自分の意志、自分の才覚で試すことができる。 それが喜びでなくて、何でしょうか?

ビジネスマンか革命家か

私は起業の際、対象とするビジネスをふたつに分類して考えます。ひとつは、すでにそのビジネスの市場は存在しているけれども、今までとは別の方法で参入するというパターン。もうひとつは、市場そのものがまだ存在していない、全く新しい市場創造を目指すパターンです。 私は、後者を手掛けるひとの方が、より「創造的」で「偉大な」起業家だと思います。もちろん、より困難を伴うハイリスクな分、ハイリターンである可能性も大きいのです。 中でも100年に1度の「世の中を一変させる」ビジネスを生み出したひとは、単なる起業家・産業人の範疇をこえ、歴史に名を残すひととなり得ます。 たとえば、馬車が全盛のころ、手作りで高価だった自動車を大量生産して、一気に普及させ、結果として世界中の人々の移動手段をがらりと変えてしまった自動車王ヘンリー・フォード。個人が家庭でコンピュータを持つなどあり得ないという常識を打ち破ったアップルコンピュータの創業者スティーブ・ジョブズなどなど。

ヘンリー・フォードやスティーブ・ジョブズのような後者タイプの起業家は「ビジョナリー」と呼ばれることがあります。 ビジョナリーとは、ビジョンを描くひと。ビジョンとは、文字通りに言えば「幻視」です。つまり想像・空想の世界で、リアルな世界を見る能力です。ビジョナリーとは、今と違う世の中を幻視できる能力を持っているひと。今は全く使われていないが、何年か先の将来にはこの商品や技術を誰もが使っていると確言し、それを普及させようとがんばるひとのことです。人々の生活やビジネスのあり方を一変させるようなインパクトのある事業を構想できるひとといってもいいでしょう。 身の丈に合った起業テーマを目指すのもいいですが、破天荒な、常識はずれのビッグビジョンを描くビジョナリーこそ世にどんどん登場してほしいと思います。もっとも、最初からビジョンを描いて邁進した、というわけではなく、結果としてビジョナリーと呼ばれるようになったひともいます。気負い過ぎずにいきましょう。

投資家との人付き合いはマスト

あなたが本格的な起業家として事業を成長させ、会社を発展させていきたいと思っているなら、自己資金だけでは到底足りません。 つまり、あなたはいろいろなひとからお金を集める能力を身につけなくてはなりません。となると当然、実際にお金を出してくれた投資家、つまり株主たちとの付き合いが宿命づけられるのです。シードマネーを集める段階から、上場時、そしてさらに企業規模を大きくするときー会社を立ち上げたということは、イコール株主と常に向き合って仕事をする、ということにほかなりません。

会社を立ち上げた起業家には、さまざまな責任がのしかかります。 顧客や取引先に確かな財・サービスをお届けする責任、従業員の生活を保障する責任、法律を守って経営する責任……。 しかし、常に何にも先んじて考えるべきなのは、株主への約束を果たす責任です。 株主への約束とは何か?それは出資金に応じて経済的なリターンをもたらす努力をする、という約束です。 特に事業の目算がつかない創業初期段階で投資する株主は、非常に大きなリスクを負ってくれています。自分のアイデアに大切なお金を投じていただいたという感謝の念、そして、なんとしても投資に見合うリターンをお返しして報いるぞ、という気構えを一瞬たりとも失ってはなりません。だから、少しでも早く事業を軌道にのせ、利益をあげることに全力を尽くす必要があるのです。

マネックス松本大さんの事例

彼は「ネット証券戦国時代」と呼ぶべき動期に、大変な努力の末、株式公開を果たしました。 そのあと彼のオフィスを訪ねる機会があったのですが、「え?これがあのマネックス?」と驚くような質素なオフィスでした。 入り口にはダンボールの山。社長室すらありません。机はみんなで長いテーブルを共有しています。キャスターつきの引き出しを適当にはめて、せまいスペースで作業しています。一つずつ独立した机を使うより、人数の増減にフレキシブルに対応できるからだと聞きました。 私が思うに、上場は果たしたもののまだ黒字化する前だから徹底的なコスト節減をしていたの ではないでしょうか。 マネックス証券は現在東証2部に昇格し、オフィスも立派なところに引っ越しされましたが、あの質素さは見習うべきだと思います。そういえば、むかしアマゾン・ドット・コムのオフィスを訪問したときも同様の質素さを感じました。

上場企業と未上場企業のPER相場

PERの平均値はその時の株式相場の平均相場というものがあります。また、業種の平均PERというのも指標になります。バブリーな時期ですと、PERは100倍以上まではねあがり、落ち着きますと10~20倍程度になります。東証1部に上場している伝統的企業は10~20倍前後、東証マザーズなどに上場している成長性の高い会社は100倍以上もありえます。 ただ、未公開企業の場合、公開が近いとしても公開企業の相場の半分くらいにディスカウントされます。まして、公開が見えていない時点ですと、さらにディスカウントされます。 あなたの企業の職種と似通った現在の上場新興企業のPERが50倍くらいだとすると、あなたの会社の妥当なPERとして20倍くらいにみせることは可能でしょう。ということは、今期2000万円の利益を出せる見込みがあれば、4億円という企業価値(プレマネーバリュエーション)を主張できることになります。1億円の増資をもくろむなら、ポストで5億円となりますから、1億円を出した新株主のシェアは20%となります。

ネットエイジインキュベーションの出身者

ネットエイジがインキュベートしたビジネスには、当社内で発案したものもありますが、学生や若い社会人が副業的にやっていたネットビジネスの原型を助けて、大きく育てた例も少なくありません。たとえば、20代前半の河野吉宏君のやっていたFreeML (http://www.freeml.com/)、当時東大4年生の笠原健二君のFind Job! (http://www.find-job.net/)、CSKのサラリーマンの小澤隆生さんのBizseek (http://www.easyseek.net/)などです。

後悔最小化フレームワーク

もしこのインターネット革命の波に乗れる立場にいたのに、乗らずに80歳を迎えたとしたら、梅やんでも悔やみきれないほど『自分はアホだった』と後悔するに違いないと確信したのさ。 そうなったらぜんぜんリスキーなんて思わなくなった。すぐ行動したよ。

なるほど、と思いませんか。

「なにがイヤだって、せっかくのチャンスをみすみす逃して後から後悔するのが一番イヤだね」

ベソスのこの考えは私も大好きです。そういえば楽天の三木谷社長も、日本興業銀行のエリート銀行員をやめて楽天をつくるとき、「自分はリスクテイカーではなく、リスクアバーター(averter 一回避者)だ」と言っていました。 三木谷社長の言うリスクとはもちろん創業した会社がうまくいくかいかないか、というリスクでありません。チャンスを生かして起業することなくあとで人生を後悔するリスクのことです。 そんなリスクこそ徹底的に避けたい、そう言っているわけです。

Last updated on Nov 13, 2024 00:00 JST
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