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33/ Little Bets

2012年にピーター・シムズ氏によって書かれた本

2012年にピーター・シムズ氏によって書かれた本

大きな賭けではなく小さく賭ける

  • 「小さな賭け」とは、具体的かつ即座に実行可能な行動によってアイデアを発見し、テストし、発展させていくこと。その過程での数多の失敗を前提とし、「学習」と考えること。

実験的イノベーターは、「こうすれば成功するはず」という計画を細かく立てる代わりに、何をなすべきかを知るために今できることをさっさとやる。彼らは「小さな賭け」を繰り返すことで驚異的な成功を収める。

  • 大きな賭けではなく小さな賭けが有効なのは、我々が予測しようと試みる事柄の多くは本質的に予測不可能であるため。

    • そもそも予測不可能であるという前提を忘れて「合理性の幻想」にハマってしまう
  • Googleの事例

ラリー・ペイジとサーゲイ・ブリンは巨大企業になるというゴールを目指して起業したわけではなかった。 それどころか、ウェブ上の情報の検索に革命を起こそうとしたわけでさえなかった。 スタンフォード大学のデジタル・ライブラリ・プロジェクトの協力者としての彼らの最初の目標は、図書館のオンライン書籍検索で検索結果表示の優先順位をいかに決めるかという、ずっとささやかな問題の解決だった。

様々な可能性を試すうちに2人は、最も有効な基準は「対象となる文献が他の文献から参照されている回数だと気づいた。これがイノベーションへと発展した。

  • Amazonの事例

ベゾスは、アマゾンが新市場を開拓するための戦略のアイデアを得る過程を「作物のタネをまくようなものだ」とか「袋小路に入り込むようなものだ」とか描写する。

新しいチャンスは実際に動く中で発見される。 「ほとんどの試みは袋小路だとわかる。しかしほんの時たまだが、狭い路地を入っていくと思いがけずに広大な市場へ通じる広い通りに出くわすことがあるのだ」

  • ヒューレット・パッカードの事例
  • 企業が巨大になると経営者はどんどん大きな賭けをしなければならないと思いこむようになる

HPの経営陣も、自社の既存事業に隣接する、あるいは関連ある成長分野での新たなビジネスチャンスの研究に、多大な努力を払った。しかしながら、彼らはすでに10億ドル規模の市場に成長している分野にしか注目しなかった。バーンホルトは、「当時私の同僚たちは皆、『最低でも10億ドル規模になるビジネスでなければ検討する価値はない』と言っていた。10億ドル、10億ドルと、何かの呪文のように唱えていたね」と回想する。

成長志向のマインドセット

  • 成長志向のマインドセットの人々は、知性や能力は努力によって伸びると信じ、失敗や挫折を成長のための機会と考える。彼らは常に新たな挑戦によって自らの限界を広げていこうとする。

  • 小さく賭ける一方で、野心的な目標は必要。ただし、その目標すらもAgileに変更する。

彼らは予期せぬ困難な課題に遭遇すると、最終的な目標を達成するには新たな道を発見しなければならないと受け入れるだけでなく、場合によっては最終的な目標自体も修正する。 困難な事態に打ち勝つためにこうした柔軟性を発揮するには、失敗の心理的影響を克服する精神的強さと、当初はすばらしく見えたアイデアに固執せずに新しいアイデアを探る思い切りが必要だ。 これは「言うは易く、行うは難し」の典型だ。

  • 失敗に無頓着であれ、全く気にするなというわけではない

    失敗への不安に襲われるのは避けられない。あらゆる創造的プロセスには、失敗への不安がつきものだ。いかに数多く大きな成功を収めてきた人間であっても、これを逃れることはできない。

素早い失敗による素早い学習

  • いかに小さく早く失敗するか。
  • とにかくどんなにひどくても着手すること、公開すること。
  • なんならつまらない初稿を出す方が正しい

「優れた作家はつまらない初稿を書く」

  • 小さく早い失敗でフィードバックの質も良くなる

ほとんど完成段階に来ている製品を見せられた場合、テストに参加した消費者は欠点や不満など否定的な意見を言いにくくなる。 「会社はこの製品をここまで開発するのに膨大な金と時間をかけているのだろう。それならあまり悪口は言いたくないな」となるわけだ。

しかし逆に、ガムテープで継ぎ合わされたものだったら、一見してそれが初期のプロトタイプであるとわかる。 消費者は、「会社はまだいろいろ助けを必要とするよlうだ。それなら本気で考えて正直なところを言ってやろう」と考えてくれる。

即興の遊びが創造性を産む

  • 余裕は創造性の酸素であり、焦りは創造性を窒息させる。遊びは発明の母である。

即興とユーモアにあふれた遊びの雰囲気はわれわれの心をリラックスさせ、心の束縛を解く。これによって、創造的なアイデアを窒息させる焦りによる早すぎる判断を防止する。

  • 遊びは1人よりもチームで

質問力

  • 創造的見識を見出す方法の一つは「理論を捨て、物事を直接体験すること」だ。その手段として一次情報者への「質問」が有効。

「ビルディングの中に事実は存在しない。あるのは意見だけだ。」

  • 「なぜ」だけでなく「なぜ~でないか」も必ず問う

何かがチャンスだ、何かで優位に立てるかもしれない、大きくなりそうな分野だと思えたとき、必ず「なぜ?なぜそれをするのか?」と問う。

しかし、「なぜやらないか?」も等しく有効な問いである。

ジェフ・ベゾス

運の良さを小さく作り始める

  • 多くの人から少しずつ学ぶ

  • 運のいい人は、好奇心旺盛で新しい出会いを好むし、自然にやってくる新しいことを受け入れやすい

  • 強固で長続きする人間関係を形成する

運のいい人たちは、出会った人々と強固で長続きする人間関係を形成することに長けている。彼らは打ち解けやすく、ほとんど誰にでも好かれる。概して疑いを知らず、他の人たちと密な関係を結ぶ。

運の悪い人たちと比べて、ずっと多くの友達や同僚と頻繁に連絡を取り合うようになる。そして、この友達ネットワークが繰り返し、人生の機会を発展させるのに役立っていく。

所感

  • ConcreteでActionableな行動を小さく始め、とにかく早く失敗するというのはまさにAgileの精神ですっと入ってきた。
  • 「理論を捨てて質問することによって創造的見識が見いだせる」というのは完全に同意するところ。理論が正しい場合は、その通りにやれば誰もが成功できるわけであり、新参者や弱者にチャンスはない。質問によって自分の頭で考えて得た「理論とは違う事実」が新しい見識となり、それが弱者にとってのチャンスとなる。
  • 2023年度は「応援される人になる」ために人間関係構築に対する取り組み方を変える年と位置づけていたため、「新しい出会いと人間関係の継続が運をつくる」という節も非常にタイムリーで良かった。
Last updated on Apr 12, 2023 00:00 JST
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