37Signalsのジェイソン・フリード氏とDHH氏が書いた働き方や会社経営についての本
世界にとって「重要なこと」をする
どこにでもあるような製品をもう一つ作りたいのか、それとも革命を起こしたいのか。 成し遂げたことが自分の遺産になる。
何かをするなら、重要なことをしよう。 彼らは少人数で、どこからともなくやってきて、何世紀も続いた古いモデルを破壊した。あなたも自分の業界で同じことができる。
一線を画すために独自の視点を持つ
前進する際に、なぜそれをしているのかを常に念頭に置いておこう。 すばらしいビジネスは単なる製品やサービスではなく、「視点」を持っている。 何かを信じなければならない。気骨が必要だ。 何のために戦うのかを知り、それを世界に示す必要がある。
スタートアップではなく企業を始めよう
すべてのビジネスは、新しかろうが古かろうが、マーケットの力と経済のルールに支配される。 収入があり、支出がある。利益を出せなければ、去るだけだ。 スタートアップはこの現実を無視しようとする。 スタートアップは、避けられないこと(すなわち彼らのビジネスが成長して利益を上げ、本物の持続可能なビジネスにならなければならないこと)をできるだけ後回しにしようとする人々によって経営されている。 ビジネスに対して「利益を上げる方法は将来見つける」なんて態度をとる人は話にならない。
- はじめからExitのことを考えるようなビジネスは上手く行かない
必要なのは、出口戦略ではなく関わっていくための戦略だ。 船から逃げ出す方法ではなく、プロジェクトを成長させ、成功させる方法を考えるべきだ。 やめることを前提にした戦略では、そもそもチャンスがあっても成功できないだろう。 とても多くの野心的なビジネスが売却に希望を託しているだろう。しかし買収される確率はとても低い。
買収されたいと思って会社を作ると、間違ったことを強調してしまう。 顧客に愛されることより、会社を買ってくれる人のほうを気にする。間違ったことにこだわってはいけない。
ビジネスを売れる立場になったとしよう。ビジネスを立ち上げ、売却し、大金を手に入れる。そしてどうする? どこかの島に行って、毎日ピニャコラーダをすする?それで本当に満足だろうか?金だけがあなたを幸せにしてくれるのだろうか? 信じているビジネスを楽しみながら経営するよりそのほうがいいと感じるものだろうか? これが、ビジネスを売却したオーナーが、引退から半年でゲームに戻ってくる理由だ。
彼らは手放したものを懐かしく思っている。 そして多くの場合、彼らのビジネスは最初よりずっと劣っている。 そんな人間になってはいけない。 何とかいい仕事をしているなら、やり続けるのだ。チャンスは何度も巡ってはこない。大切なビジネスならばなおさら取り逃さないことだ。
身軽であれ
身軽であるというアイディアを受け入れよう。 今このとき、あなたは最も小さく、最も無駄がなく、最も速い。 ここからだんだん鈍重になっていく。 そして物事が身軽ではなくなるにつれ、方向を変えるのにより大きなエネルギーが必要になる。
巨大な組織は軸を変えるのに何週間も何カ月も何年もかかる。 行動するかわりに会議をして、実行するかわりに打ち合わせをする。 しかし身軽でいれば、ビジネスモデル、製品、機能一覧、マーケティング・メッセージ、なんでもすばやく変えることができる。 ミスをおかしても、すぐに直せる。優先度も、製品の構成も、フォーカスも変えられる。そして最も重要なことは、自分の考えを変えることができるのだ。
制約は創造性の父である
「私には十分な時間も、お金も、人脈も、経験もない」と嘆くのはやめよう。 少ないことは良いことだ。制約は見方を変えれば武器である。 資源が制限されると、それでなんとかしなければならなくなる。 そこには無駄の余地はなく、創造性が求められるのだ。
作家は常に創造力を発揮するために制約を利用する。
中途半端な製品より、よくできた半分の製品
多くのすばらしいアイディアも、一度に実現しようとすると一気にくだらない製品になってしまうことがある。 やりたいことのすべてはなかなかできないものだ。時間、資源、能力、そして優先順位と制限はつきものだ。 一つのことでも完璧にすることは難しい。同時に一〇個のことをうまくやる?そんなことは忘れたほうがいい。
中途半端な完成品より、機能を半分に絞っても中身の良い製品のほうがいいに決まっている。量より質だ。
多くのものは小さくすればするほどよくなる。
決断することで初めてコトを前に進める
できるだけ「これについて考えよう」ではなく「これについて決断を下そう」と思うことだ。決断する姿勢を持つことだ。完璧な解決を待たず、決断して前進するのだ。
問題が起こるのは、後に完璧な答えが得られるだろうと期待して決断を先延ばしするときだ。 完璧な答えはやってこない。明日決断するも今日決断するも同じだ。
やらないことを決める
一つの部屋に世界中の芸術作品を置くだけでは、博物館とは言えない。 それは、倉庫だ。 博物館をすばらしいものにするのは、壁に何が掛かって いないかなのだ。 キュレーターには何を残すか、何を取り去るかを決める役割がある。 いわゆる編集のプロセスだ。 壁に掛けられているものよりも掛けられていないもののほうが多い。
やることを減らすのだ。 減らしても、あなたのプロジェクトは想像するほど深刻な事態にはならないはずだ。 最終的にはさらに良いものを作るいい機会でもある。何が本当に重要か徹底的に見極めよう。 締め切りを延ばし予算を増やしたところで、きりがない。
変わらないものに目を向ける
ビジネスを立ち上げるなら、その核は変わらないものであるべきだ。 人々が今日欲しいと思う、そして一〇年後も欲しいと思うもの。そうしたものにこそ力を投入すべきだ。
僕たちの会社が焦点を当てているものは、早さ、シンプルさ、使いやすさ、わかりやすさだ。 それらは、ずっと変わらない要望だ。 一〇年後、「使いにくいソフトウェアが欲しい」という人はいないし、「もっと遅いアプリケーションがあればなあ」という声も聞かないだろう。
本質にこだわれ
ビジネスの世界では、本質的な問題から目をそむけ、ツールや、ソフトウェアの細かなテクニック、スケールの問題、高価なオフィス空間、豪華な備品といったどうでもいいことに心酔する人があまりに多すぎる。 本当に重要なのはどのように顧客を増やし、利益を増やすかということなのに。
すでに持っているものや、安く手に入るものをフル活用しよう。大切なのは道具ではない。できることから、持っているものでやっていく。
副産物にチャンスを見つける
何かを作るとき、実は何か別のものも生まれている。 決して生まれてくるものは一つではないのだ。どんなものにでも副産物がある。 すぐれた洞察力を備え、創造的なビジネス・マインドを持った人は、こうした副産物に注目し、チャンスを見出すのだ。
言葉以外もフル活用して合意形成をする
何かを説明する必要があるときは、形にしてみよう。 それがどのように見えるかを説明するかわりに、その絵を描こう。 それがどのように聴こえるかを説明するかわりに鼻歌を歌ってみよう。積み重なった抽象概念の層を取り除くために、できることはすべてやってみるのだ。 レポートや書類のような抽象物の問題は、合意したという幻想を生み出すことだ。何百人もの人が同じ言葉を読むことができるが、頭の中では何百もの異なったことを想像している。
一つ一つ仕事を「完了」させる
もしあなたがいつも残業し、週末も働いているとしたら、それはやるべき仕事が多すぎるからではない。 それは仕事を「完了」させていないからだ。そしてそうなるのは、仕事に邪魔が入るからだ。
- ノートークデー
あるいはカジュアルフライデーのかわりに、ノー・トーク・サーズデーを試す。
Quick Winsを積み重ねる
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Stack Quick Wins
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小さく分割する
解決策は大きなものを小さなものに分解することだ。 より小さいほど見積もりをするのが簡単になる。おそらくそれでも見誤ってしまうだろうが、大きなプロジェクトを見積もるよりも間違いはかなり少なくなる。
時間枠をより小さなかたまりへと分解し続けよう。 一つの一二週間のプロジェクトのかわりに、それを一二の一週間のプロジェクトへと組みかえる。 三〇時間以上かかるタスクの見積もりを考えるのではなく、まずはより現実的な六から一〇時間のかたまりにタスクを分解する。それから一つ一つ取り組んでいくのだ。
いい方法がある。その長いリストを、いくつものより小さなリストに分解するのだ。 たとえば一〇〇項目の一つのリストを一〇項目の一〇のリストへと分解する。 これはリストの中の一つの項目を終えたときにリストの一パーセントではなく一〇パーセントを完了したことを意味する。 確かに、あなたにはまだ同じ量だけやることが残っている。でもあなたは小さな世界を見て、満足やモチベーション、そして進捗を得ることができる。これは巨大な世界を見つめてゾッとし、モチベーションを挫かれるよりもはるかにいい。
視覚的に優先順位を付ける。最も重要なことを一番上に配置する。次に重要なことはその下。 こうすれば、最も重要なことは一度に一つだけだ。それで十分だ。
ヒーローになるより、やめてしまう方が良いことが多い
多くの場合、ヒーローになるよりやめてしまうほうがいい。
僕らは直接この問題を経験したことがある。 だから、僕らはメンバーの誰か一人が二週間以上時間を費やしているものがあるならば、他のメンバーに見てもらうようにしている。 他のメンバーはそのタスクに関して何も手を貸せないかもしれないが、それを手早く再検討して、意見を述べることはできる。 明白な解決策があなたをまっすぐ見つめ返していても、あなたはそれに気づくことさえできないこともある。
やめることが最善の方法となりうることを覚えておこう。 人はやめることを失敗と関連づけがちだが、時にはそれがまさに今すべきことである場合もある。 すでに一つのことにそれだけの価値がないほど多すぎる時間を費やしたのであれば、そこから手を引くこと。 その時間を取り返すことはできないが、最悪なのはさらに多くの時間を無駄にすることだ。
製品に自分自身のユニークさを注入すれば模倣は敵ではない
あなたが成功しているなら、人々はあなたがしていることを真似しようとするだろう。 それが世の中というものだ。 しかし、あなたをそんなマネっこから守るすばらしい方法がある。 それはあなた自身を製品やサービスの一部にすることだ。製品にあなたのユニークさを注入するのだ。 製品をありふれたものではないものにする。他の人が提供できないものにするのである。
それに模倣する側は、オリジナルにいつまでも追いつけない。模倣者は常に受動的な立場にある。先導することなく、常に後塵を拝している。
ポジションを取る
もし競合相手が最低だと思ったらそう言おう。 そうすれば、あなたに同意する人があなたの側に集まってくるのがわかるだろう。 アンチでいることは、あなた自身を差別化し、人を惹きつけるのに非常に良い方法だ。
敵を持つことは顧客に伝えるためのすばらしいストーリーをもたらしてくれる。 態度を表明することは常に目立つ。 人々は対立によってかき立てられる。 彼らはどちらか一方の側につく。情熱に火がつく。そしてこれは人々の注意を引くのにとても良い方法である。
競争相手のことは気にしない
結論として、競合相手に対して注意を向ける価値はあまりない。 なぜなら他社について心配することはすぐに強迫観念に変わってしまうからだ。 彼らは今何をしているのだろう? 彼らは次にどこへ向かうのだろう? 僕らはどのように対応したらいいのか? どのような小さな動きも分析しなければいられなくなる。 これはひどい考え方だ。それではストレスと不安に圧倒されるようになる。そんな精神状態は、何を育てるにもひどい土壌となってしまう。
それに無意味な動きでもある。競争の状況は常に変化している。 今日の競合相手と明日の競合相手は完全に異なっているかもしれない。あなたにはなすすべがない。あなたの手に負えないことを心配することに何の意味があるだろう?
あなたが他の人たちとただ同じようになるのであれば、なぜあなたが別にやる必要があるだろう? もしあなたが単に誰かをそっくり真似ているのだとしたら、あなたの存在には何も意味がない。 たとえ敗北に終わったとしても、単に他を真似るのではなく、あなたが信じていることで戦うほうがいいのだ。
基本的に「No」と言う
「イエス」と答えるのはとても簡単だ。 さらなる機能の追加に、あまりにも楽観的な締め切りに、可もなく不可もないデザインに「イエス」と答える。 あっという間に、あなたが本当にしなければいけないことが見えなくなるくらい「イエス」と答えたものが高く積み上がってしまう。
自分の最高のアイディアに対してさえも、「ノー」と言う習慣をつけよう。 優先順位をはっきりさせるために、「ノー」と断ることにより生まれる力を利用しよう。 「ノー」と言って後悔することはめったにないが、「イエス」と言って後悔するはめになることはしょっちゅうある。
- 「自分が信じれる商品」を提供し続ける
顧客との衝突は彼らを不快にさせるので、多くの人は「ノー」と答えるのを避ける。 しかしそのかわりの選択がいいものだとは言い切れない。 物事を長引かせて複雑にし、あなたが信じてもいないアイディアに取り組むことになるのだ。
あなたのゴールは製品があなたにとって正しいものであり続けることだ。 誰よりもあなたがそれを信じなくてはいけない。だからこそ「僕はこれが気に入っているから、君もこれが気に入ると思うよ」と言うことができるのだ。
熱意と優先順位を混同するな
すばらしいアイディアを思いつくと高揚がもたらされる。 可能性と利益を思い描き始める。 そしてもちろん、それらをすべてすぐに得たいと思う。 そのため、他に行っているすべてのことをやめ、最後に思いついた「一番すばらしい」アイディアを追い求め始める。 これはへたなやり方だ。 新しいアイディアへの熱意は、そのアイディアが持つ本当の価値の正確な指標ではない。 たった今、確かなひらめきが生まれたように見えたものも、次の朝にはただの「あってもいい考え」に格下げとなっていることがある。 そして「あってもいい考え」には、他のすべてのことを延期するほどの価値はない。
まず「すばらしいアイディア」はしばらく棚に上げておこう。 多くの「すばらしいアイディア」を思いつくことはいいことだ。 ひらめきに刺激され興奮するのもいい。だが、瞬時の熱意に押されて行動してはいけない。 アイディアを書き留めて、何日か棚に上げておこう。落ち着いてから、そのアイディアの優先順位を評価してみるのだ。
顧客の声を書き留めてはいけない
顧客が求めているものをどのように追跡し続ければいいのだろうか? そんなことはしなくていい。顧客には耳を傾けるが、そのあとは人々が言ったことは忘れてしまうほうがいい。これはマジな話。
本当に気にかけるべき顧客の要求は、あなたが繰り返し聞くことになるものだ。しばらくすると、それらを忘れられなくなる。 あなたの顧客があなたの記憶となるのだ。彼らは指摘し続けてくる。彼らはあなたが本当は何を気にしなければいけないのかを示してくれるのだ。
ノウハウは公開する
今日、時代の先端を走る会社は、もっとよい方法を知っている。人々のところへ行くのではなく、人々に来てもらうようにするのだ。 観客というのは、時々あなたのところに自分から舞い戻ってくる。これが、一番理解ある顧客であり、一番の見込み客と言えるだろう。
大きな企業は、スーパーボウル中継にCMをドンと打つことができるが、あなたには無理だ。 でもあなたは「教える」ことができる。大企業はノウハウや戦略を秘密にするほうが利益につながると考えている。大きな企業が同じようなことをやろうとすると、弁護士のチェックが入り、面倒くさい手続きをくぐり抜けねばならない。教えることには、彼らと十分に戦えるチャンスが潜んでいる。
経営者としても、彼ら(料理人)を見習うべきである。 これは普通ビジネスの世界ではタブーである。 ビジネスとなるとみんなが秘密主義に走り出す。 自身のノウハウは特権的で、競合他社へのアドバンテージになると考えるのだ。 まあ、うまくいくこともあるかもしれないが、たいていはそうはいかない。だから、そんなことは考えないほうがいい。共有することを恐れてはいけない。
まずは観客を得ることから始めよう。あなた自身の言葉に興味を持ってくれる人たちを見つけるのだ。そして、地道にそれを続けよう。
限界で初めて、人を雇う
まず自分自身でやってみるまで、誰かを雇ってはいけない。 まず自分で、仕事の本質を理解しよう。 うまくいく仕事とはどういうものか。どんな事業計画書を書くか、また面接でどんな質問をすべきかもわかるだろう。 人をフルタイムで雇うか、パートタイムで雇うか、外注するか、それともやはり自分でやってしまうのか(できればこれが望ましいが)がわかるだろう。
時には畑違いを痛感するかもしれない。全然うまくできなかったとくさることがあるかもしれない。それでもいい。その感覚を自分で学びながら克服するのか、他人を雇って克服するかの違いだ。まずはやってみること。最初の試みを後で諦めることになっても、得た知恵は何倍もの価値となって戻ってくる。
ビジネスの全面に密に携わるべきだ。でなければ、他人の手に自身の運命を預けることになる。それは危険なことだ。
喜びを得るために雇うのではない。苦しみを消すために雇うのだ。
同様に、誰かが抜けることになってもすぐに代役を立てないことだ。
人を雇うのによいタイミングは、定められた期間内であなたの限界を超えた仕事があるときだ。もはや自身では手がつけられないものもある。品質の低下が目立ち始める。それが限界の時だ。その時こそ人を雇うのであって、その前の段階ではない。
たとえ有能な人でも、必要のない人間を雇うことはない。
うわべだけの仕事はうわべだけのプロジェクトとなる。
「逃した魚」のことを気に病む必要はない。意味のないことをしているスタッフがいることのほうが良くない。外を見渡せば、有能な人はたくさんいる。本当に必要な時に、最適な人を見つけられるだろう。
全員が働くチーム
小さなチームでは、人に仕事を振る人間ではなく、働いてくれる人間が必要だ。全員が何かを生み出さなければならない。結果を出さないといけないのだ。 つまり、他人にこれをしてと言うばかりの仕切り屋を雇ってはいけないということだ。 彼らは、小さなチームのお荷物だ。彼らはどうでもいい仕事を引っ張ってきては、チームのプロジェクトを妨げる。 割り当てる仕事がなくなると、どれほど必要かも考えずに、さらに新しい仕事を作ろうとするのだ。
彼らと働くのは楽だ。彼らは、自分の方向を自身で打ち出す。彼らを放っておくと、いかに彼らが仕事をこなすかに驚くだろう。彼らは、必要以上の指示やマネジメントを必要としない。
そういう人たちをどう見つけるか? 彼らのバックグラウンドを見てみることだ。彼らは仕事にどのように取り組むかいろいろ試行錯誤したはずだ。 彼らは何かを独力で行ったはずだ。何かプロジェクトを立ち上げたはずだ。 雇うべき人というのは、ゼロからプロジェクトを立ち上げてやり遂げられるような人だ。
文章力がある人を雇う
文章力がある人はそれ以上のものを持っている。
文章がはっきりしているということは、考え方がはっきりしているということだ。 文章家は、コミュニケーションのコツもわかっている。物事を他人に理解しやすいようにする。 他人の立場に立って考えられる。彼らは、何を省けばいいかもわかっている。そんな能力こそ必要なはずだ。
採用選考では必ず一緒に働いてみる
面接だけでは十分ではない。 プロっぽく話す人が実際働くとプロには程遠いこともある。 必要なのは、今から何ができるかを評価することであって、過去に何をしたかという彼らの話ではないのだ。 一番良いのは、実際の仕事ぶりを見ることだ。二〇時間から四〇時間程度でもいいので、小さなプロジェクトに実際に入ってもらう。
悪いニュースは絶対に隠さない
人は自然と開放的で正直なほうに惹かれるものだ。危機に直面したときこそ責任感を見せよう。広報の陰に隠れたり、悪いニュースを隠したりしないように。顧客にはできるだけ情報を提供しよう。
最上位の人間が力強く指揮をとる。
・メッセージをできるだけ広範囲に発信するためにできる限りのことをする。臭い物に蓋はご法度。
・「ノーコメント」は選択に入れないし、あってはならない。
・人間として謝罪し、事故の詳細を説明する。
・誠実に顧客のことを考え、行動で示す。
- 自責思考で謝罪する
正しい謝り方なんてないが、間違った謝り方は山ほどある。 最も悪いのは「本当は謝っていない」謝り方だ。 たとえば「ご迷惑をおかけしたならすみません」や「あなたの期待にそえず残念です」など。 良い謝り方とは、責任を認めるものだ。 「もし」ではなく、実際に起こった事態の詳細とこれから改める方針を含み、悪い事態を直そうという意図がはっきりしているもの
顧客には素早く対応する
顧客サービスで最も大事なのは、すぐに返事をすることだ。素早く反応することで悪い状況を良い状況に転じることができる。
一度でも素早く対応すれば、状況は一八〇度変わる。彼らは途端に丁寧になり、むやみに礼を言うだろう。
たとえ完璧な答えでなくてもかまわない。何か一言言うだけでいいのだ。「ちょっと調べて折り返しご連絡いたします」だけで事がうまく進む。
顧客の声を聴き続ける
会社でも同じだ。顧客と作り手の間に人が多いほど、顧客の声は歪んだり失われたりしていく。
チーム全員が顧客とかかわりをもたなければならない。もちろんいつもではなく、年に二、三回でもいい。 これこそ、チームが顧客の気持ちを理解する唯一の方法だ。顧客の不満を共有すれば問題を解決する気になるし、顧客のうれしさが伝わってくれば、大きな刺激になる。
チームを信頼する
**人を子供扱いすれば、子供のような仕事しかしない。**だがこれが多くの会社、多くの管理職の人の扱い方だ。
何にでも許可を必要とする環境は「何も自分で考えない文化」をつくる。
仕事中にSNSをチェックしたり、ユーチューブを見たりするのを禁止して何になるというのだろう。そうしたところで部下は必ず他の気晴らしを見つけるだけだ。
そんなことにあなたが費やす時間と費用を考えてみよう。監視ソフトのコストは? 本当に価値ある仕事のかわりに他の社員を監視している社員のムダは? 誰も読まないルールブック作りに何時間かけているだろうか。 換算してみると、社員と信頼関係をなくすことはかなり不経済だと気づくだろう。
多くの会社では、仕事以外にやることがなく、一日一四時間働いて机の下で寝るような二〇代が理想的な社員だ。だが、部屋いっぱいにそんな連中を集めても思いのほかうまくいかない。
かしこまらずに自分らしさを全面に出す
ビジネスに携わる人はよく偉そうにする。堅苦しい言葉遣い、格式ばった発表、不自然なうわべだけの親しさ、難解な法律用語など、なんとかならないものか。
あなたらしくていけないことはない。正直であることもスマートなビジネスにつながる。 言葉は第一印象だ。なぜ嘘から始める必要がある? 自分自身であることを恐れてはいけない。
ひらめきには賞味期限がある
したいことがあれば、今しなければいけない。 しばらく放っておいて二カ月後に取りかかるというわけにはいかない。「後でやる」とは言えない。「後で」ではそんなにやる気満々でもないだろう。
インスパイアされている間は二四時間で二週間分の仕事ができるものだ。そういう意味ではひらめきはタイムマシンだ。