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45/ STARTUP 優れた起業家は何を考え、どう行動したか

日本のWeb2.0起業家のケーススタディを集めた本

日本のWeb2.0起業家のケーススタディを集めた本

事業アイディア

  • 徹底的なリサーチ

インターネットに掲載されているのは、基本的に事業を提供する側にとって都合がよい情報ばかり。ビジネスモデルや事業性を見極めるために本当に欲しい情報は、自分で足を使わなければ手に入らない。事業の立ち上げに直接関わった人たちが持つ一次情報を取りに行くことの重要性を、南は強調している

  • 受託で事業の種とそのためのノウハウを蓄積する

独立したものの、すぐに自社サービスを作れるリソースが整っているわけではない。赤坂、西川はまずアプリの受託開発、広告代理業などで売上を立てる方針を取った。その結果、創業から 3 年後には、売上が約 7 億円を突破。従業員も 25 名ほどを抱える規模にまで拡大した。

仲間集め

  • Pivotを前提として、手を動かせる必要最小限のチームを作る

アイディアが事業につながり、その成長の可能性が見えるまでに、数年をかけたチームもある。市場の立ち上がりが思ったより遅い、デジタル化がなかなか進まないなど、当初の見通しよりも事業環境が整わないことは珍しくない。  そのため、創業初期のチーム構成は、「事業モデルのPDCA1を回せる最小構成」であるべきだ。

優れた起業家は、プロダクトマーケットフィットに時間がかかることを知っている ので、リソースを最小限に留めることの重要性を心得ている

小さいチームを作るために、なんでも外注すればいいかというとそんなことはない。 プロダクトマーケットフィットの検証サイクルを回すために必要な人材は、自前で揃える ことが重要だ。

初期チームには、自分で手を動かせるメンバーだけを求めるべき

  • 仲間のモチベーションを下げない意思決定プロセス

マーケティング戦略やプロダクト開発の方向性について、少数精鋭で議論しても決めきれないことは当然出てくる。そのときは、リーダーである社長が司令塔となって最終決断を下し、各メンバーに指示を出す必要がある。その際、相談・議論というプロセスを踏んでからの意思決定なのかどうかが重要だ。社長に決定権があるからといって、相談・議論のプロセスを飛ばしてはいけない。モチベーションを上げるのも社長の仕事だ。

  • 採用はとにかくアクションの数

優れた起業家に採用について聞くと、必ずといっていいほど、「どのような人に会うときも、その人が自分と一緒に働いてくれないかを考えている」と言う。 視界に入る人全員を採用候補者として見ている と言っても過言ではない。人が事業をドライブすることを理解している起業家は、どのような機会も可能性に変えようとし、積極的に声をかける。

創業者の最も重要な役割は最初の10人を集めること

「一人での経営ではなく、チーム経営を実現するためには、やはり仕事を100%任せ切れることが重要だと思いました。そのためには、少なくともこの領域においては自分よりも優秀だ、という人を採用する必要があります。なので、 2 年ほどかけて、自分より優秀な人を採用しました。」

  • リファラル採用数を明確に目標化する

ビズリーチでは「リクプロ5(リクルーティングプロジェクト)」と呼ばれる、社員が自主的に採用にコミットするプロジェクトが存在する。チームや個人に分かれて、3ヶ月で一人の入社を目標にしているプロジェクトだ。当初は社員全員が参加し、リファラル採用のノウハウを全社で共有していた(現在は立候補制のプロジェクトに進化)。

プロダクトづくりと検証

  • 顧客の声と顧客の行動

顧客の声はアイディアを創出する際のきっかけとしては活躍するが、アイディアの検証には役立たない。

  • 検証するべき要素は何かを明確にする

世界的に民泊で有名なAirbnbは、今でこそ全世界に600万室以上を提供しているが、一番最初は「自分のアパートのたった一室を他人がホテル代わりに予約するか」だけを検証した。  靴のECで有名なZapposは「返品が可能であればユーザーはインターネットで靴を購入するか」だけをまず検証した。検証時には、近所で購入可能な靴の情報だけを掲載し、注文が入れば創業者自ら近所の靴屋まで靴を購入しに行き、手作業で靴を郵送していた。

Pairsを立ち上げた赤坂は競合であるOmiaiをスマホに特化させたバージョンをリリースした。当時マッチングサービスにおいては業界内に先駆者がたくさんいたため、ユーザーがマッチングサービスに課金することはすでに充分証明されているとみなせた。そのため、赤坂は「スマホに特化したUI/UXがどれだけ求められているか」のみに注力して検証した

  • PMFしているか

Y Combinatorという米国のアクセラレータではこのプロダクトマーケットフィットの水準として、 週次のアクティブユーザーが 7%以上でオーガニック 1 で(広告を使わずに)成長していること、と定めている。

  • だめなサービスと良いサービス

やっぱり駄目なサービスって、放っておいたら本当に誰も触らないんですよ。伸びるサービスって、マーケティングも未熟でプロダクトも未熟でも、なぜか使われるんですよね。何かしら人の困っていることに刺さっているから、勝手に伸びていく。この感覚を僕はすごく大事にしています。最初のグッといくかどうかという感覚でGoするかしないかを決めています

「自分のパターンでいうと『やりたいかどうか』ですね。やり切れるテンションになっているか。あとは、いつ跳ねるかわからないけど我慢して続けるのではなく、検証する課題が明確で、一歩ずつ前に進められるものであること。これが揃って初めて『マーケットがあるか』を評価する、という順番です」

  • 1プロダクト検証3ヶ月

「1プロダクトに必要な検証は大体3ヶ月くらいだと思っています。もちろん、1ヶ月で出せるものはすぐに出しますけれど、LPを作ることも含めて、大体3ヶ月あれば、このアイディアがいけそうか、いけなそうかぐらいはわかります。プロダクトを作らなくても検証できることも多いですし」

  • ユーザーヒアリング

「ユーザーに欲しいものを聞こうという感覚はまったくないです。ユーザーが欲しいものは自分たちで考えるので。逆に『 10 分余ったときに、何のアプリ見ます?』とか『こういうとき、どういう行動してますか?』とかユーザーが実際に何をしているかは聞いたりしますね。そこにサービスのヒントが隠れていたりします。

「当時はインタビューも体系的に洗練されていなかったので、『これを欲しいか』みたいな曖昧な質問が多かったですね。今だったら、普段どういう行動をしているのかなど、客観的な事実を深掘って、そこからプロダクトを作ります」

ユーザー獲得

  • マーケティングの発明は必須

優れた起業家に共通しているのは、そこまで考えるのか、と驚かされるほど「 1 円でも安く顧客獲得する」ことにこだわり抜く姿勢

  • 誰も気づいていない獲得方法の発明
    • Web2.0初期でいうとFacebook広告など

Facebook上でさまざまな『診断アプリ』を出していきました。たとえば、『あなたの友達の中であなたの投稿に〈いいね!〉したことがある人は何%』というようなライトな診断をいくつも作って、サービスのFacebookページにどれぐらい『いいね!』がつくかを検証したり。

「僕が発明できたものがあるとしたら、広告のやり方なんですよね。毎日Facebookに5本くらい動画を出すじゃないですか。そうするとたとえば150本くらい動画が溜まるわけなんですけれど、その中でバイラルしたトップ10%のものを広告のクリエイティブに当てれば、おそらくCPIが激安になるだろう、と気がついたんです」

  • LTVは初期はベンチマーク企業を参考にする

プロダクト導入初期においては、CACはわかるものの、LTVが一体いくらなのかわからないことが多い。なぜなら、LTVに大きく影響するリテンション(継続率) は、一定期間経過後でなければ推計が難しいからだ。  自社のLTVがわからない場合は、ベンチマーク企業のLTVを参照する

  • キャッシュエンジンとトラフィックエンジン

僕はこれを『キャッシュエンジン』と『トラフィックエンジン』と呼び、この両軸を持っている企業が一番強いと考えていました。だから、『キャッシュエンジン』として継続課金や高ARPU 18 が取れそうなマッチングアプリを置き、『トラフィックエンジン』としてFacebook上に無料アプリを作っていったんです。『トラフィックエンジン』側でユーザープールを作ることができれば、広告宣伝費を下げられる

  • プロダクトの習熟度とマーケを踏むタイミング

「一般的なテレビCMだと、とにかくマスで、なるべく多くの人へのリーチを目指すと思います。ただ、僕は逆の考え方でした。まだ200万ダウンロードのフェーズではマス層は使わないんです、絶対に。メルカリでは、直接的にアプリをダウンロードしてくれる人を獲得する狙いで、 20 ~ 30 代の女性にかなりフォーカスしました。

資金調達

  • ランウェイとチャレンジの回数

構想レベルのプロダクトを検証するまでにかかる期間は、一般的に3ヶ月とするケースが多い。人件費、家賃、光熱費、通信費、開発端末のコストを考えると1ヶ月にかかるコストはだいたい60万円。すると、シードVCは約15ヶ月分、すなわち5回のプロダクト検証にチャレンジするための資金をアシストしてくれているとも読み取れる。

  • 出資者・支援者への誠意

常日頃から出資者・支援者の方に対して情報発信を心がけ、全力で挑戦していたのであれば、信用問題に発展することはない。失敗する確率のほうが高いのだから、開き直って挑戦するぐらいの心構えでいい。  ただし、出資者・支援者の方から回答がなくても、情報発信を続けておくことは社会人として最低限のマナーだ。こうした信用をしっかりと積み上げることが、次のチャレンジの際新たな出資者を獲得できるかどうかを分ける。

Last updated on Jul 05, 2023 00:00 JST
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