Featured image of post 65/ 最強知名度のつくり方

65/ 最強知名度のつくり方

エクスコムグローバル代表の西村誠司氏が書いたマーケティングについての本

エクスコムグローバル代表の西村誠司氏が書いたマーケティングについての本

サービスの質よりも知られていることがまず必要

・ボイスメールの品質に問題があったのか

・価格が高かったのか

・サービスに革新性がなかったのか

いずれも要因の一部ではあるかもしれませんが、本質的な理由とは思えませんでした。思案の末、私がたどり着いた結論は「私(当社)が誰にも知られていなかったから」でした。

  • 「成熟の時代」にこそ知名度が重要

技術的に見てこのビジネスは、価格や商品、サービスの面で圧倒的な差異がなかなかつけられません。 ただ、そんな状況でも知名度だけは上げられます。 そして、競合と圧倒的な性能差が打ち出せないからこそ、消費者がサービスを選択する上で、知名度が物を言うのです。

業界を問わず技術や市場が成熟し、機能面で他社と絶対的な差を打ち出すのが難しい今の時代にあっては、もはや知名度を上げることがすべて。 何はさておいても最優先事項と言っても過言でありません。

どんなに面白いネタを書いていようが、素晴らしい料理をつくっていようが、優れた商品やサービスを提供していようが、知られていなければ存在していないも同じなのです。

これは、あなたの能力の問題なのではありません。知名度の問題なのです。力がないからではなく、知られていないから。それだけです。

言ってみれば、品質の高い商品やサービスを提供できるのは当たり前。それはあくまで前提条件で、その上で多くの人にその存在を知られていること、知名度に対して人はお金を払うのです。

覚えてもらうには手段を選ばない

インパクトを与えるには、まず、印象に残るアイテムやワードが必要です。

マーケティングでは、いかにギャップをつくるかも大事なポイントです。人は、あらかじめ予想した内容とかけ離れた現象を目の前にすると必ず驚きます。

創業したばかりのころ、営業の電話をかけるとき「徳川と申します」と名乗っていたことがありました(笑)。それだけでも「もしかしたらあの『徳川家』と関係がある人なのでは」と相手に思わせることができ、「ちょっと会ってみようかな」という気になられた方も多かったように記憶しています。

  • タイミングに徹底的に拘る

このようにタイミングを工夫するだけで、相手に好感を持ってもらえることはビジネスの世界に限ったことではありません。

以前、新卒採用のイベントにブースを出して私自身が受付を担当していた際、親切心から学生にこんなアドバイスをしたことがあります。

「本当に入りたい会社なら、社長面接が終わったらすぐ手紙を書いてバイク便で送るといいですよ」。

  • まずビッグネームを味方につける

知名度を短期間で飛躍的に上げる方法として欠かせないのが、「ビッグネームを味方につけること」です。

  • やりすぎくらいでちょうど良い

メディアのアンテナに引っかかるには、SNSで発信するにしても相当エッジを立てる必要があります。ここでも、どうしたらテレビ番組の制作者や雑誌編集者の心を動かせるかを考えなければなりません。彼ら自身、視聴者や読者の心をどうすれば動かせるか、常に考えている人たちですから多少のことでは驚きません。だから、「やりすぎ」と言われるくらいの情報発信をしなければなりません。

  • ウィンザー効果

人は、当事者から直接伝えられるより、第三者から言われたことのほうをどちらかというと信用します。これは「ウィンザー効果」があるためです。ウィンザー効果とは、本人が直接言うよりも、第三者を介して伝えたほうが、信ぴょう性が高まるという心理的傾向のことを言います。

ウィンザー効果の「ウィンザー」は、米国の作家、アーリーン・ロマノネスの小説『伯爵夫人はスパイ』に登場するウィンザー伯爵夫人のセリフ、「第三者の褒め言葉が、どんな時でも一番効果があるのよ。忘れないでね。いつか役立つわ」から来ていると言われています。

知名度から立ち上げる

  • まず知名度が無いと先に進めない

むしろ最優先で知名度を上げることに取り組まなければなりません。

「中身がなければ、名前だけ売れても続かない」「会社の中身を整備してから、知名度を高めていこう」と考える人もいるでしょう。そういう方に私は、次のように「知名度で先行すること」の重要性をお話しするようにしています。

  • 知名度の向上をDay1から行う

新事業を始める際は、事業立ち上げと並行するぐらいの気持ちで、知名度向上に取り組むことが大切です。 少し早すぎるぐらいのタイミングでさっさと宣伝活動を開始すべきです。 そうやって他社に先駆けて事業を始めれば、「知名度を上げる強力な発射台」にもなります。

  • 初期は知名度を上げること以外は考えない

とにかく知ってもらうことの一点突破で、認知度を高めることだけに全精力を傾けています。 その先にある例えば「Action」、つまり売り上げをどう伸ばすかとか、店舗にどう足を運んでもらうかといったことは、少なくとも事業立ち上げの段階では、ほとんど考えたことがありません。

2割の法則

まったく何の準備もできていないのに始めるわけにはいきません。やはりある程度の完成度に達してから、事業化する必要があります。

ただこのある程度の割合が私と他の人たちとの大きな差になっているのだと思います。私が求める完成度とは、ずばり2割です。

パレートの法則を私流に解釈すると、「物事は、2割が完璧なら大体完成している」となります。

最終的に目指すべきビジネスのクオリティを10とすると、核となる重要な部分が2できた時点で、それなりの完成度になっているということです。

であれば、さっさと商品やサービスを世の中にリリース(宣伝)したほうがいい。サービスを完璧なものに仕上げていく作業はそこからじっくり取り組めばいい。

撤退すれば良い前提でスピードを最優先する

私も起業当時は、入念なリサーチをしたうえでボイスメール事業を始めましたが、お話ししたとおり、これと言った成果もなく失敗に終わりました。

一方で、あまり深く考えず、いわば勢いで始めた海外用レンタル携帯電話事業が当たりました。 こうした私の経験からも、たとえ不完全でも準備がある程度できたら、まずは始めることに利があると思っています。

そんなに慌てて事業化して失敗したらどうするんだ──。そんなお叱りの声も聞こえてきそうです。

この問いに対する答えは簡単で、「失敗しそうになったら、すぐに諦める」。以上です。

スピード重視で経営すれば、それだけトライする数も人より多くなります。 その分、「しまった!」という失敗も私自身多々ありますが、それらは経営やマーケティングセンスを磨くための授業料くらいに私は思っています。

つまり、事業化も早いですが、撤退するのも早い。

ダメと判断したら見切りをつけて深みにはまらず、次のことにチャレンジする。 そうしてトライ&エラーを高速でどんどん繰り返していくのが私のスタイルです。

速さだけではなくリソース投下も大胆に

ここで言うスピード重視とは、「ただ早めに始める」ことだけではありません。

いざやると決めたら、少しずつ様子を見ながらではなく、全速力で知名度向上に向けて経営資源を投入し続けることも重要だと思っています。 当然、広告は可能な限り最初から大量に出稿すべきですし、知名度向上へのアクセルは踏み続ける必要があります。

CM1回で、知名度向上へのスピードを緩めてしまえば、再び人々に忘れ去られます。知名度向上戦略の、特に初期は、矢継ぎ早に手を打ち、知名度向上策を加速させることが欠かせません。それで初めて、会社の知名度は安定したものになるのです。

Last updated on Nov 22, 2023 00:00 JST
Built with Hugo
Theme Stack designed by Jimmy