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26/ 横井軍平ゲーム館 世界の任天堂を築いた発想力

任天堂の伝説のアイデアマン横井軍平氏と彼の生み出した商品について書かれた本

任天堂の伝説のアイデアマン横井軍平氏と彼の生み出した商品について書かれた本

以下、個人的に印象に残った部分をメモ

枯れた技術の水平思考

  • 横井軍平の開発哲学「枯れた技術の水平思考」は先端技術で勝負するなアイデアで勝負しろという教え
  • 枯れた技術の水平思考は日本の産業が強かった時のお家芸だった

誰が電熱器を応用すればご飯が炊けるなどと考えただsろう。誰がモーターでシャツが洗えるなどと考えただろう。誰が再生しかできない小さな音楽プレイヤーが売れると考えただろう。 日本は「枯れた技術の水平思考」で一流国にのしあがってきたのだ。

始まりは横井軍平がサボりで作っていたおもちゃ

与えられた設備の保守点検という軽い仕事があまりにも暇なもので、横井は仕事中におもちゃを作ってサボり始める。 その玩具に目をつけたのが山内溥社長だ。 ここから任天堂の運命が急転する。その玩具こそ、のちの「ウルトラハンド」なのである。

技術者ではなくプロディーサーとしての矜持

横井の仕事の特徴はハードウェアとソフトウェアの両方を開発していくことだ。 ハードとソフトの両方を使って商品を開発するのである。

横井は一度も自分のことを「技術者」とは呼ばなかった。 「難しい技術のことなど、ようわかりませんから」と笑うが、その裏には「ハードだけ作れる技術屋でもない、ソフトだけ作るプログラマーでもない。私は商品開発をやっているのだ。」という自信が伺えた。

横井はハードもソフトも高度に操れる技術者ではない。「自分にできないことは人にやってもらう」という発想で、商品のアイデアを考えることこそ自分の使命だと考えているようだ。

技術者は得てして専門の袋小路に入り込み、商品の姿を見失ってしまうことがある。自分の仕事はそこで消費者の要望と技術者の目指すものを合致させることにあるのだというのが持論だ。

キャラクターデザインをマニュアルとして使う

あるキャラクターがいた時に何も工夫しないとそのキャラが敵なのか味方なのか、どう動かしたら良いのかが分からないわけです。

ユーザーは説明書なんて読みません。 キャラクターをいかにも悪そうにすればそれが敵だと分かる。下から火が追いかけてくるようにすれば、否が応でも上に動くだろうと。 こうやって画面の中でハウツープレイを説明するように工夫したんです。

誰もが説明なしにゲームを遊べるかということばかり考えてました。 パソコンに慣れている人はマニュアルを読んでから遊びますけど、一般の人は違いますから。

徹底的なユーザー目線にこだわる

  • ゲームボーイでモノクロにこだわった理由

当時はファミコンが全盛なので「どうしてモノクロなんだ」と随分言われました。 私は「携帯」というコンセプトを中心に持ってきたんですね。 持ち歩いて遊ぶゲーム機であれば当然乾電池で長時間動かなければならない。 カラーにすると電池の持ちが1時間半くらいになってしまっていたんですね。

この商品は絶対にどこかが真似してくるだろうなと思っていたらやっぱりカラー版の製品がセガから出てきたんです。 「カラーで人気ですよ」と聞いて「よかったよかった」と思ったんですね。

ゲームの本質

ファミコンやゲーム&ウォッチ、ゲームボーイの世界では一生懸命新しいゲームを考えるという姿勢があったんです。 ところがある程度までいったらやることがなくなってきた。そうするとカラーにする、スピードを増すという話になってきた。

やっぱりゲームの本質はアイデアなんです。

テレビゲームがスペックの勝負をし始めたときからゲームの本質とは違う方向に動いているなと思いました。

商品開発者の心得

  • 技術者は見栄を捨てよ

技術者は難しい技術を使いがちですが、私はユーザーの立場で手っ取り早く作れるものから始めていきます。

売ることに徹すること、技術者としての見栄を捨てることが私の開発哲学です。

  • 自分で全部やろうとしない。専門家に頼ろう。

私には専門の技術というものがないんです。全体をぼんやり知っている程度です。 何かを作る時に必要な技術の判断は付きますが、作成は自分で勉強してから始めるのではなく、専門家を集めてきたらいいんです。

まぁそうすると技術者から見れば「落ちこぼれ」ということになるんでしょうけど、ヒット商品が2つもでれば落ちこぼれなんて言葉はどっかに消えてしまうんです。

  • 技術者になるな。プロデューサーになれ。

専門家を連れてきたら「私は調整役だから技術のことは任せた」と完全に任せてしまうんです。 こうやれと命令しては人はモチベーション高く動かない。 任せることで技術者からもいろいろな提案をしてくれるんです。

  • プロデューサーに必要なのは専門知識ではなく、根本理解力

中身なんてわからなくていい。中身を考える専門家がいるんですから、任せてしまえば良いんです。

ものの根本、理屈がわかっていればどんどん応用が効いてくる。 難しい計算ができるのがえらいのではなく、その計算が何の役に立つかがわかることが大切なんです。

実用品と娯楽品の違い

実用品にはニーズというものがあるわけです。ニーズを求めてそれに対応して商品作りをするのが本来の姿です。

それに対して娯楽品のニーズとは端的に言えば暇つぶしです。 暇つぶしのニーズを見つけるのはより難しい。「何をしたら楽しいか」というのは日々の小さな気付きが重要なんですね。

ユーザーは何を「求めていないのか」を意識する

ニーズを発するのはユーザーです。 技術者はニーズを聞いて求められているものを作成することは得意です。

しかし、カンタンにつくれる、コストがかからずに付け足せるとなってくると便利機能を追加してしまうのが技術者の性です。 なのでユーザーは何を求めていないかを意識して調整する役が必要なのです。

ユーザーにはスゴい商品は必要ない。売れる商品が必要なんです。

技術に惚れ込まず、水平思考をする

最先端の技術を使いたくなってしまいますが、それだとえてしてコストが高くなって多くのユーザーが買うものではなくなってしまいます。

私がいつも言うのは「その技術が枯れるのを待つ」ということです。 技術が普及するとどんどんコストが下がってくるのでそこが狙い目です。

そしてその枯れた技術を水平に考えていく。垂直に考えていると電卓、電卓で終わってしまいます。 水平に別の分野での応用方法を考えることでアイデアが生まれるんです。

部下に花をもたせる

若手がアイデアを持ってきてもそれが自分の手柄にならなければ、その若手は二度と提案を持ってきてくれなくなります。

私は必ず社内的にも対外的にも彼がやりました。ということを言っていました。 私が何かを考えて特許を申請するときも若手メンバーの名前で申請してやるということくらいまでやっていました。

事例

ゲーム&ウォッチは新幹線の中で生まれた

新幹線の中での退屈しのぎにサラリーマンが電卓を使って遊んでいた。 これを見ていて「あ。暇つぶしの出来る小さなゲーム機はどうだろうか。」と思ったのがそもそもです。

マリオは任天堂アメリカの社員の名前

マリオというキャラクターは宮本くんが作りました。 ただこのキャラクターは最初私達は単に「おっさん」と呼んでいたんです。

できあがったキャラクターデザインを任天堂アメリカに送ったら、向こうで働いているマリオという社員にそっくりだという話になって、マリオという愛称になったんです。

Last updated on Feb 22, 2023 00:00 JST
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